イザナキとイザナミは国を生み終えたので、さらに神を生んだ。
岩土の神、家の戸口の神、屋根の神、海の神、水の神などを生んだ。次に風の神、木の神、山の神、野の神などを生んだ。
三十五の神生みの最後にイザナミは火の神を生んだ。この火の神を生んだため、イザナミは産道が焼けて床に伏してしまった。そのときの嘔吐物、糞、尿からも神々が現れた。そうして、イザナミは火の神を生んだ事が原因で、ついにお亡くなりになった。
イザナギは嘆いた。
「いとしい我が妻の命を、たった一人の子のために失ってしまうとは思いもよらなかった」
イザナギが、イザナミの枕元や足元に伏して泣いた時の涙から神が現れた。香具山のふもとの丘の木の下にいる、名は泣沢女神である。お亡くなりになったイザナミは、出雲国と伯耆国との国境にある比婆山に葬った。
イザナギは十拳剣を抜いて、火の神の首を斬ってしまった。
その刀についた血から剣と雷に関する八神が現れた。殺された火の神の頭、胸、腹、陰部、左手、右手、左足、右足からは、山に関する八神が現れた。火の神を斬った刀の名は天之尾羽張(あめのをはばり)、又の名を伊都之尾羽張(いつのをはばり)という。
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