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古事記「根の堅州国(前編)」を探る

兄弟の神々から逃れて根の堅州国へやってきたオホナムヂはスサノヲの娘スセリと結婚するが、今度はスサノヲの試練を受けることになる。
雄々しく激しい性格のスサノヲに対して、忍耐強く穏やかな性格のオホナムヂが対照的に描かれている。

古事記「根の堅州国(前編)」あらすじ

オホナムヂは、オホヤビコの言葉に従い、スサノヲの所へ向かった。すると、スサノヲの娘、須勢理毘売(スセリビメ)が出てきた。二人はお互いに目を見合わせて結婚した。スセリビメは宮殿に戻ると父スサノヲに言った。
「とても素敵な神がいらっしゃいました」
そこで、スサノヲが出て見て、
「これは葦原色許男命(アシハラシコヲ)という者だ」
と言ってオホナムヂを呼び入れ、蛇の部屋に寝させた。この時、妻スセリビメは蛇の比礼を夫オホナムヂに授けた。
「蛇が噛もうとしたときは、この比礼を三回振って、打ち払って」
教えられた通りにすると蛇は静かになったので、オホナムヂは安らかに寝て、部屋を出ることができた。

次の日の夜、オホナムヂはムカデと蜂の部屋に入れらた。今度もスセリビメがムカデと蜂の比礼を授けて前のように教えた。それでオホナムヂは部屋を無事に出ることができた。

次にスサノヲは鳴鏑を大きな野原に射入れて、それをオホナムヂに取りに行かせた。そしてオホナムヂが野に入ると、周囲から野原に火をはなった。火に囲まれたオホナムヂが出口がわからす困っていると、ネズミが来た。
内はほらほら、外はすぶすぶ
ネズミがそう言うので、その場所を踏んでみると、下に落ち込んでしまった。その穴に隠れている間に火は上を通り過ぎた。そしてそのネズミが鳴鏑の矢をくわえて持ってきてオホナムヂに差し出した。矢の羽はネズミの子たちが食いちぎってしまっていた。

古事記 「根の堅州国(前編)」語句解説

葦原色許男命(アシハラシコヲ):
オホナムヂの別名。葦原中国の頑強な男という意味。

比礼(ひれ):
古代の女性が首にかけていた長く薄い布。この場合、蛇や蜂などの害をはらう呪力を持ったもののようである。

鳴鏑(なりかぶら):
鏑矢。矢の先端につけた鏑に穴をあけて、矢が飛ぶ時に音が出るようにしたもの。

内はほらほら、外はすぶすぶ:
穴の中は広く、穴の入口はすぼまって狭い。

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(1999/6/23)