HOME

古事記を探る

世界神話との比較

日本書紀

風土記

古史古伝

探求ノート

古代ジパング探求

古事記「返し矢」を探る

アマテラスの遣いのキジをアメノワカヒコが射殺してしまったため、アメノワカヒコは死ぬことになる。気になるのは、キジを殺すようにアメノワカヒコをそそのかした人物。「天のさぐめ」と名があるが、「天から来た探る女」という意味ではなかろうか。

古事記「返し矢」あらすじ

アマテラスとスタカミムスヒが
「アメノワカヒコが久しく復命しない。どの神を遣わして、アメノワカヒコが長い間留まっている理由を尋ねたらよいか」
と神々に問うた。
そこで思金神や他の神々が答えた。
「名を鳴女(ナキメ)というキジに遣わせるとよいでしょう」
そして、
「お前が、アメノワカヒコのところへ行って『おまえを葦原中国に遣わした理由は、その国の荒ぶる神々を服従させるためである。どうして八年も復命しないのか』と尋ねよ」
と鳴女を遣わせた。

鳴女が天より降り、アメノワカヒコの家の門前の木にとまった、天つ神の言葉を伝えた。
そこに天のさぐめが鳴女の言うことをきいて、
「この鳥は、鳴く音が悪い。射殺してしまいなさい」
とアメノワカヒコに進めた。

そこで、アメノワカヒコは天つ神から賜った弓矢で、そのキジを射殺してしまった。
その矢はキジの胸を貫いて、逆さまに射上げられて、天におられるアマテラスと高木神(スタカミムスヒの別名)のところまで届いた。
高木神がその矢をみると、矢羽に血がついていた。
「この矢はアメノワカヒコに与えた矢だ」
高木神は矢を神々に示すと、
「もしアメノワカヒコが悪神を射った矢ならば、アメノワカヒコに当たるな。もしアメノワカヒコに邪心があるなら、アメノワカヒコに当たれ」
といって、矢を地上界へ衝き返した。
すると矢は朝の床に寝ていたアメノワカヒコの胸に命中して、死んでしまった。
これが返し矢のおこりである。

古事記 「返し矢」語句解説

返し矢(かえしや):
射た矢を射返されると、命中するというもの。

あらすじへ戻る

古事記を探る

(1999/9/4)