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古事記「国譲り(後編)」を探る

ついに大国主神が国譲りを受諾する。大国主神は自分が引退することの交換条件として、立派な宮殿をつくるよう要求する。

2000年4月、出雲大社から巨大な柱が出土し、高さ48mの巨大本殿説を裏付けるものとなった。この柱は平安時代末期のものであるらしいが、大国主神の宮殿と何か関連があるのでは、と興味深く思っている。

古事記「国譲り(後編)」あらすじ

建御雷之男神が再び戻ってきて、大国主神に尋ねた。
「あなたの子、事代主神と建御名方神の二神は、天つ神の御子の仰せに従い背きませんと言った。さあ、あなたの気持ちはどうだ。」
大国主神は答えた。
「私の子、二神が申すとおり、私も背きません。この葦原中国は仰せのとおり献上いたしましょう。ただ私の住む所は、天つ神の御子が皇位をお継ぎになる立派な宮殿のように、地底の岩盤に太い宮柱をたて、高天原に届くほど氷木を高くしてください。そうすれば私は、遠い遠い幽界に隠れておりましょう。また、私の子供たちは事代主神を頭にして従わせれば、背く者はいないでしょう。」

こうして出雲国の多芸志の小浜に立派な宮殿がつくられた。水戸の神の神の孫である櫛八玉神(クシヤマタノカミ)が膳夫となって神聖なご馳走を奉った。櫛八玉神は鵜の姿になり、海の底へ入ると、海底の粘土をくわえて出て、たくさんの神聖な平たい土器をつくった。それから、海藻の茎で燧臼と燧杵を作り、火をおこすと、祝の言葉を述べた。

この私がおこした火は、高天原においては、カムムスヒの御祖神の新しい宮殿に、ススが長く垂れるまで焚き上げ、地下においては、地底の岩盤を焚き固まらせます。栲縄の長い縄を打ち延ばして、海人が釣る、口の大く尾が立派な鱸(すずき)を、さわさわと引き寄せあげて、竹の台が重さでたわむほどに、神聖な魚料理を奉ります。

こうして、建御雷之男神は高天原へ帰り、葦原中国を平定した様子を伝えた。

古事記 「国譲り(後編)」語句解説

氷木(ヒギ):
屋根の両端の木が交差して、棟より上に突き出た部分。

多芸志の小浜(タギシノオバマ):
所在未詳。

水戸の神(ミナトノカミ):
水の出入りする水門の神。河口の神。

膳夫(カシハデ):
食膳をつかさどる者。調理する者。

燧臼・燧杵(ヒキリウス・ヒキリキネ):
板にくぼみをつくり、先のとがった棒をあて、強くもんで火をおこす発火道具。

栲縄(タクナハ):
楮の皮の繊維でつくられた縄。

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(2001/9/8)